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申請

いざ申請しましょう。

生活保護は原則として申請しなければ始まりません。

生活保護法第七条

保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

保護の実施機関

申請は誰に対してするのか?

生活保護の実施責任者を「保護の実施機関」と言い、それは

  1. 現在地が市の場合: 市の福祉事務所長
  2. 現在地が町村の場合で、その町村が福祉事務所を持つ場合: 町村の福祉事務所長
  3. それ以外の場合: 都道府県の福祉事務所長

です。

まず法律で保護の実施機関は

  1. 都道府県知事
  2. 市長
  3. 福祉事務所がある町村長

だと定められています。 (各市、各都道府県には必ず福祉事務所がありますが、町村における設置は任意です(社会福祉法第十四条)。)

生活保護法第十九条第一項

都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの

各保護の実施機関はその管轄の行政庁に業務を委任できます。

生活保護法第十九条第四項

前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。

そのため、各保護の実施機関は福祉事務所長に業務を委任しています。 (保護の実施機関の定義上、それぞれは必ず管轄の福祉事務所を持っています。)

各都道府県、各市、福祉事務所がある各町村は、生活保護法施行細則準則という厚労省からの通知(指揮命令のようなもの)をひな形に、 「生活保護法施行細則」のような規則を制定しています。

その準則の一部がこちら。

生活保護法施行細則準則 最初のページ

このように、準則に「福祉事務所長に委任する」旨が書かれているので、それをひな形とした各自治体の規則にも同様の内容が書かれていることになります。

よって、最初のとおり実質的な保護の実施機関は

  1. 現在地が市の場合: 市の福祉事務所長
  2. 現在地が町村の場合で、その町村が福祉事務所を持つ場合: 町村の福祉事務所長
  3. それ以外の場合: 都道府県の福祉事務所長

となります。

実際の申請場所

とはいえ実際に申請する場合は、現在住んでいる市町村の役所に行けばよいでしょう。

まず、市町村の福祉事務所は市町村役所の中にあります。 そして、福祉事務所がない町村の場合も、町村長は保護の実施機関との中継役を担う必要があります。

生活保護法第十九条第七項

町村長は、保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、次に掲げる事項を行うものとする。
一 要保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において、速やかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二 第二十四条第十項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。

したがって市町村役所に行けば生活保護の手続きができると言えます。

申請の形式

生活保護の申請は、各自治体の規則で定められた申請書を使う必要があります。

前述のとおり、それらの規則は生活保護法施行細則準則をひな形に作られているため、ここではそのひな形を載せます。

申請書 1ページ目 住所、名前、職業など世帯の基本情報を書く欄がある 申請書 2ページ目 援助が見込める人の名前や、保護を受けたい理由を書く欄がある 申請書 3ページ目 資産の申告書 不動産、現金などを書く欄がある 申請書 4ページ目 資産の申告書(裏面) 生命保険、自動車などを書く欄がある 申請書 5ページ目 収入申告書 世帯員の仕事や収入、年金などを書く欄がある 申請書 6ページ目 収入申告書(裏面) 仕送り、働いていない人の名前などを書く欄がある 申請書 7ページ目 照会の同意書 官公庁や銀行などに照会してよいかの同意書

実際に申請する

まずは役所に行って生活保護の申請をしたい旨を伝えましょう。 多くの場合「福祉課」などという名前です。

すると担当者からいろいろ質問されたりするので、それに答えたりしましょう。

重要なのは絶対に申請してから帰ることです。

役所は申請させようとしなかったり、申請を受け取らなかったりする場合があります。

しかし申請に「受け取る」「受け取らない」という概念はありません。

行政手続法第七条

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

市民から申請を受けた行政庁ができることは二つに一つ:

  1. 申請の形式の補正を求めること
  2. 許認可または拒否すること

これの何がうれしいかというと、申請者があいまいな状態に置かれることがありません。 生活保護法では申請が到達してから 14 日以内(または 30 日以内)に保護を決定するか拒否するかする必要があります。

生活保護法第二十四条(一部)

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3 保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。
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5 第三項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。
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